マンモグラフィの所見の書き方-マンモグラフィ読影試験対策-

マンモグラフィの所見の書き方 認定試験

これまで、カテゴリー分類に関して石灰化腫瘍に分けて学んできました。しかし実際にはカテゴリーの数字を書くだけではなく報告書として文章にする必要があります。ここでは所見の書き方とそれに伴い必要な知識をつけましょう。

マンモグラフィにおけるカテゴリー分類(石灰化Ver)-読影試験にて必須知識‼︎
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マンモグラフィにおけるカテゴリー分類(腫瘍Ver)-読影試験にて必須知識‼︎
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マンモグラフィを読影する際にまず評価するものは?

MGを撮影して左右対称で撮影条件もバッチリな画像が撮れたとします。これから読影しようとしたとき、まずは何を評価するでしょうか。

まず記載すべきは乳房の構成だよ。4つ分かるかな?

よく見るのは乳腺散在と不均一高濃度!あとは‥なんだっけ

乳腺と脂肪の割合によって4つに分けられます。ざっくりですが、MGでは乳腺は白脂肪は黒で表示されますね。

乳房の構成はなぜ決める必要があるのか

脂肪が少ない乳房と多い乳房だとどっちが腫瘍を見つけやすいかな?

そりゃ、、脂肪が多い中に高濃度の腫瘤があったら一発でわかるよ‼︎

乳腺がたくさんある乳房だと、腫瘤が隠れて見つけにくいのは何となく想像できるでしょうか。乳房の構成を報告書に書くにあたり、乳腺が多いからといって悪性になるとかそういう話ではありません。カテゴリー分類にも直接には影響しません。

それではなぜ評価するのでしょうか。それは、病変が乳腺に隠されてしまう危険性を表すためです。デンスブレストというワードを耳にしたことはあるでしょうか。非常に大切なワードなので少し解説します。

デンスブレスト(dense breast)とは

乳腺が多い乳房のことで病変の検出率も下がります。つまり、見落としが発生しやすいということを示します。また、デンスブレストは欧米と比較して日本人では多い傾向にあります。
アメリカでは検診時にデンスブレストであった場合は告知するよう義務づけられている州もあるそうです。日本ではまだその様な告知義務はありませんが、デンスブレストに関する知識が広まることで少しでも乳がんの発見遅れがなくなることを願います。

日本でも川崎市等では、高濃度乳房であった場合には検診受診者にはその旨を通知しているそうです。個人的には大変良いことだと思っています。

自分がデンスブレストだと知れる取り組みもあるんだね‼︎

放射線技師として、デンスブレストの画像を見た際にはより慎重に読影しましょう。また、こういう乳房こそただ圧迫するのではなく、しっかりと乳腺を広げて乳腺の重なりが少しでもなくなるよう圧迫しましょう‼︎

マンモグラフィの読影レポートを作成

ここまで読んでいただけたら、乳房の構成を報告書に書く意義が分かって頂けたかと思います。読影レポートを書くうえでもしくは見る上で、この乳房において病変があった場合に見落とすリスクが高いのか低いのかを提示するためのものです。高濃度乳房の場合は特に気をつけて読影しましょう。それでは早速4つの乳房の構成を見ていきましょう。

乳房の構成

  1. 脂肪性‥ほぼ脂肪に置き換わっている乳房。病変の検出は容易である。
  1. 乳腺散在‥脂肪に置き換えられているのものの乳腺も散在している。病変の検出は比較的容易である。
  1. 不均一高濃度‥乳腺内に脂肪が混在しており不均一な濃度を示す。病変が乳腺に隠れる危険性あり。
  1. 極めて高濃度‥乳腺内に脂肪はほとんどない。病変の検出は上記3つに比較してやや難しい。

デンスブレスト(高濃度乳房)は不均一高濃度と極めて高濃度を指します。

読影者間で意見が割れることが多いのは乳腺散在と不均一高濃度だよ

以前、学会に参加した際、有名な先生方がカテゴリー分類を各自行い、それがどの程度合致しているか見てみようという企画がありました。その際、有名な方でも乳腺散在と不均一高濃度で意見が割れる症例が多々あったのを覚えています。

実は乳房の構成を決定するにあたり、以前と評価法が変更されました。以前は乳房内の脂肪が何%あるか等々で決定されていたため、実際のところ目分量といっても過言ではありませんでした。しかし、今回の改訂で評価方法が式で示される様になったため知らなかった方は知っておいたほうが良さそうです。

マンモグラフィガイドライン第4版ではそれに関しての記載があるためぜひ見てみてください。

試験を主催している精中機構のホームページにも分かりやすくまとめてありました。ここでは簡単にまとめておきますね。

乳房の構成 改訂バージョン

マンモグラフィの所見を示す部位の表現

乳房の構成が決まったら次に所見がある場所を示す必要があります。まず、右乳房なのか左乳房なのか。そして、MLOでの位置とCCでの位置を記載しますが表現の方法に決まりがあります。

下の図が全てなのでこのまま覚えましょう‼︎

マンモグラフィで所見を書く際の部位の表現方法

カテゴリーの評価

この記事最後のお話です。ここまで、当たり前のようにカテゴリー1から5に分類したりしてきましたが、そもそも各カテゴリーの意味合いは大丈夫でしょうか?一応確認しておきましょう。そんなん知ってるわという方は基礎的な内容なので読み飛ばしてくださいね。

カテゴリー1‥異常所見なし。血管壁の石灰化と腋下リンパ節も含みます

カテゴリー2‥所見はあるが精査不要のもの。脂肪含有病変や繊維腺腫の石灰化などの良性疾患。FADで経過に著変がないものも含まれます。

カテゴリー3‥良性と思われるが、悪性も否定できない所見。

カテゴリー4‥悪性の疑い

カテゴリー5‥悪性(ほぼ乳がんで間違いない所見)

お疲れ様でした。カテゴリー分類に関しては読影試験で必ず必要になる知識なので何度も見直して覚えましょう‼︎

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