マンモグラフィの始業点検の確認
今回はタイトル通り、みなさんが始業点検で行っているはずのファントム撮影に関して重要なところを見ていきたいと思います。毎日やっていて評価法もバッチリ頭に入っている方には不要な記事です。
しかし、毎日何となくやっている方、毎日とりあえず同じ数字をコピーして始業点検表に入力していている方などは、ぜひ読んでいただけたら理解が深まるはずです。試験でも問われることがありますので必ずマスターしましょう‼︎品質管理パート1もあるのでそちらがまだの方はぜひどうぞ‼︎

ACR推奨ファントム(RMI -156)とは
毎朝、撮影しているやつだ‼︎
正解‼︎撮影した後に構造物がどのくらい見えているか毎朝点数をつけているね‼︎
156ファントムなどとも言われます。このファントムにはナイロンが6本、酸化アルミニウムが5セット、フェノール樹脂が5個配置されています。
試験ではこの判定基準がよく問われますので頑張って覚えましょう。また、このファントムは乳房厚4.2cmと等価であることも覚えておいてください。それでは早速詳しくみていきましょう‼︎
ACR推奨ファントムで評価をする意味
早速ですが、先ほどのナイロン6本は何を模擬しているのかというと繊維組織です。これはこの単元で共通することですが、この試験の目的は臨床において一定の画質が担保されていることを確認することです。読影者の能力とは関係なく、その装置が病変を描出する能力が一定以上あるかどうかを分かっていないと、安心して読影・診断が出来ません。
どの施設でも同じ品質を担保するため共通の評価法があるんだね‼︎
マンモグラフィでは繊維組織、石灰化、腫瘤などそれぞれ特性の異なる観察対象が混在するため、それぞれに対して模擬試料が設定されています。
RMI156ファントムの各模擬試料の配置
評価法に入る前に各試料の配置と数だけは確認しておきましょう。下に配置図を示してありますのでこのイメージを持ってから評価法の単元に入っていただけるとすんなり理解できるかと思います‼︎
評価法の単元では実際の点数の付け方を学んでいきますが、各試料の満点の点数は先にここで頭に入れておきましょう。
繊維は6点、石灰化と腫瘤は5点だね‼︎
また、下図をみていただけるとお分かりだと思いますが、どの試料も共通して大きいものから小さいものの順に並んでいるということです。これも重要事項ですので、しっかりとイメージを叩き込んでおきましょう。

RMI156ファントムにおける各模擬試料の評価法
1.模擬繊維の評価法(6点満点)
それでは早速ナイロン6本の繊維組織を模擬した試料の評価法をみていきます。評価していくのは、試料の全長を把握できているかどうかと位置や方向が正しく見えているかどうかという点です。点数は1点と0.5点の2種類だけです。
赤字にしたところを覚えていれば問題は解けるはず‼︎
1点
・繊維試料の全長が識別できる
・繊維試料の位置および方向が正しい
0.5点
・繊維試料の全長の半分以上が識別できる
・繊維試料の位置および方向が正しい
2.模擬石灰化試料の評価法(5点満点)
繊維試料の次に続いて配置されている石灰化試料の評価法をみていきます。これも1点と0.5点の2種類だけです。同様に識別点には色をつけました。石灰化の1ブロック6個のうち何個観察できるかを、大きいものから順に評価していきます。
1点
・4個以上の石灰化試料を正しい位置で識別できる
0.5点
・2〜3個の石灰化試料を正しい位置で識別できる
3.模擬腫瘤試料の評価法(5点満点)
石灰化試料の後には腫瘤試料が並んでいます。同様に1点と0.5点の2種類となっています。それではみていきましょう。
1点
・濃度差が識別でき、正しい位置にある
・模擬腫瘤円周の境界線が背景濃度に対して識別ができる
0.5点
・濃度差が識別でき、正しい位置にある
・模擬腫瘤円周の境界線が識別できない
RMI156ファントムの評価方法に関する決まり事
ここまでは各模擬試料に対しての評価方法を見てきました。ここで、これらを評価するにあたり共通の決まり事があるのでそちらも知っておきましょう。
- 各試料の評価は大きなものから順に点数をつけていく
- 得点が0.5または0になった時点で評価をやめる
- 前回の試験結果と0.5点以上の相違がないこと(観察環境、観察者および観察状態が同じの場合)
- 各試料ごとの描出が基準を上回っているか確認する(総合得点のみで判断しない)
4つ目の項目だけ補足しておきます。合格基準は各試料ごとに定められており、ネタバレしちゃいますがデジタルの場合だと繊維が5点、石灰化が4点、腫瘤が4点で計13点です。
例えばですが、繊維が4点でも石灰化が5点、腫瘤が4点の組み合わせでも、繊維は合格していないけれど13点となってしまいますね。もうお分かりだと思われますが、この試験はそれぞれの各試料ごとにしっかりと描出できているかをみている試験であるため合計点のみではなく必ず中身も確認することが必須となります。
なるほど‥合計点のみで判断しないということか‼︎
156ファントムと一緒に撮影しているアクリル円板とステップファントム
ここまでお疲れ様です。余力がある方は続けて読んでみて下さい。朝点検では先ほどまで勉強してきた156ファントムの他にもアイテムがなかったでしょうか?タイトルの通りですが、156ファントムの上にアクリル円板、横にはステップファントムを置いて撮影していきます。以下の図を少しでも暗記に役立てていただけたら幸いです。

アクリル円板に関して知っておきたいことがあるのでそこだけ解説します。アクリル円板と円板周囲の濃度を測定して評価していくのですが、X線管のヒール効果の影響を除かなければなりません。ヒール効果は、X線管軸方向に作用するため、マンモグラフィでは厚みの少ない乳頭方向に陽極を配置していましたね?そのため、円板部とその周囲の濃度測定はX線管軸に対して直角の方向で行います。ヒール効果に関しては解説記事があるのでいまいちわからなかった方はそちらも参照してください。

この項目の後には、品質管理でお決まりの合格基準に関してまとめていきます。後少しなので頑張ってみてみてください‼︎
156ファントムに関する合格基準
ここからは品質管理の単元では超重要な合格値を覚えていきましょう‼︎スクリーンフィルムシステムとデジタル(CR・DRシステム)では合格値が異なります。多くの施設ではCRやDRをお使いと思われますので今回はデジタルでの合格値の隣のカッコ内にフィルム系の合格値を示します。ここに出てくる数字は基本的に丸暗記でよろしくお願いします‼︎

ステップファントムに関する合格基準
これで最後の項目です。最後はステップファントムの判定です。こちらも必ず覚えましょう。

マンモグラフィ認定試験、品質管理対策勉強パート2終了‼︎
品質管理part2完結です。なかなか暗記ばかりで大変ですがなるべく頭に残りやすいよう工夫しているので何度も見てイメージで覚えてもらえたら良いかと思われます。品質管理はまだまだ続きますが頑張りましょう。そのうち各項目の暗記シートも作成予定ですのでまたチェックしてみてください。休憩もしっかりとってメリハリつけてやっていきましょう‼︎
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